飲み薬、注射、毎日、月1回……骨のお薬は種類が多くて、結局どれが自分に合うのか分からない。整理してみると、見通しはぐっとよくなります。
骨粗鬆症の治療を始めるとき、多くの方が同じところで立ち止まります。
「先生、お薬っていろいろあるみたいですけど……結局、私にはどれがいいんでしょう?」
調べれば調べるほど、飲み薬に注射、毎日のものに月1回のものと名前ばかり増えて、かえって不安になる。無理もないことだと思います。まずは大きく2つのタイプに分けてみてください。それだけで全体が見えてきます。
種類は多くても、役割は大きく2つです。
「つくる」お薬と「まもる」お薬
骨のお薬は、はたらきで2つに分かれます。ひとつは新しい骨を積極的につくるお薬で、正式には骨形成促進薬(こつけいせいそくしんやく)と呼ばれます。もうひとつは今ある骨が壊れるのを防ぐお薬で、骨吸収抑制薬(こつきゅうしゅうよくせいやく)といいます。
家にたとえると、つくるお薬(骨形成促進薬)は「増築・耐震補強」、まもるお薬(骨吸収抑制薬)は「防水・メンテナンス」です。どちらが上ということはありません。そのうえで近年のガイドラインは、骨折のリスクが高い方には「まずしっかり建ててから守る(つくる→まもるの順)」という考え方を示しています。
種類ごとの違いと、なぜこの順番なのかは次の記事にまとめました。
📖 骨を「つくる」治療と「まもる」治療 — 順番が大切な理由
「どれ」を決めるのは、あなたと主治医
選択肢がこれだけ多いと、「正解を自分で選ばなきゃ」と気負ってしまうかもしれません。でも、どのお薬をどの順番で使うかは、骨密度や骨折の有無、生活のしかたを見ながら主治医と一緒に決めることです。一人で正解を当てる必要はありません。
お薬は主治医と一緒に選ぶものです。2つのタイプを知っておくと、その相談がしやすくなります。
次の診察では、お薬手帳を見せながら「私のお薬は、つくるタイプ? まもるタイプ?」と聞いてみてください。ご自身の治療がどこに位置するのかが、はっきりします。
今日できること
今日は、これだけ覚えておけば十分です。
「種類は多くても、役割は『つくる』か『まもる』の2つ」
次回は、その治療のひとつ「自己注射」についてです。「自分で注射なんて、とても無理」と感じている方に向けて書きます。
この連載は一般的な情報提供を目的としたものです。診断や治療については、必ず主治医にご相談ください。
監修:加藤裕幸(整形外科専門医/東海大学医学部 医学教育学 教授)