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ロモソズマブ(イベニティ)— 骨をつくりながら守る「二刀流」

骨をつくる力を高めながら、壊れるのも抑える「二刀流」のお薬。12ヶ月限定の集中治療と、心臓への注意点を解説します。

ロモソズマブ(商品名:イベニティ)は、骨をつくる力を高めながら、骨が壊されるのも防ぐお薬です。「つくる」と「まもる」の二つの力を同時に持つ骨⁠粗⁠鬆⁠症の薬は珍しく、短い期間で骨密度を大きく改善することが期待されています。

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このページでわかること

  • ロモソズマブが「二刀流」と呼ばれる仕組みがわかります
  • 注射の受け方や治療期間(12か月)がイメージできます
  • 治療中に気をつけたいポイント(とくに心血管系の注意)がわかります
  • 12か月の治療が終わった後の「次のステップ」がわかります
  • 他の骨形成促進薬(テリパラチド)との違いがわかります
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ロモソズマブってどんなお薬?

私たちの骨の中には、骨をつくったり壊したりするスピードを調整する「スクレロスチン」という物質があります。スクレロスチンが多いと、骨をつくる力にブレーキがかかり、新しい骨がつくられにくくなります。

ロモソズマブがスクレロスチンのブレーキを解除

ロモソズマブは、このスクレロスチンをブロックする抗体医薬です。ブレーキが外れて骨をつくる力が高まり、同時に骨が壊されるスピードもゆるやかになるとされています。

家にたとえるなら、増築や耐震補強の工事と防水工事を同時に進めるようなものです。12か月という限られた工期で、家をできるだけ強くします。

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注射の受け方

ロモソズマブは、月に1回、医療機関で受ける皮下注射です。

  • 注射部位はお腹、太もも、上腕(二の腕)のいずれかです
  • 1回の投与で2本の注射を打ちます(1本ずつ異なる部位に注射します)
  • 注射は医師や看護師が行います。ご自分で打つ必要はありません

治療期間

ロモソズマブの治療期間は最長12か月(1年間)と決まっています。12か月を超えて使うことは、現在のところ推奨されていません。

12か月の月1回注射スケジュール

12か月間、月に1回の通院で注射を受けます。

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ロモソズマブの良いところ

  • 12か月間の治療で、腰椎(腰の骨)の骨密度が大きく改善したという臨床試験の報告があります
  • 骨をつくる力を高めると同時に、骨が壊されるのも防ぎます。どちらか一方だけに働くお薬とは仕組みが違います
  • 医療機関で月1回の注射を受けるので、ご自分で注射する負担がありません
  • 治療期間が12か月と決まっているので、いつ終わるかの見通しが立ちます

2025年ガイドラインでは、ロモソズマブはエビデンスAの高い評価を受けており、骨折リスクの高い方に対する治療選択肢のひとつとして位置づけられています。

お薬の選択は、骨の状態や他の病気、生活スタイルなどを考慮して、主治医が総合的に判断します。

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知っておきたい注意点

心血管系の注意(いちばん大切なポイントです)

臨床試験で、ロモソズマブを使用した方の中で心血管系の有害事象(心筋梗塞や脳卒中など)がやや多く報告されました。そのため、次の方には慎重に使うか、使えない場合があります。

  • 過去1年以内に心筋梗塞や脳卒中を起こした方
  • 心血管系のリスクが高い方(高血圧、糖尿病、脂質異常症などが重なる方)

主治医はお薬を選ぶ際に、骨の状態だけでなく心臓や血管の健康状態も考慮します。

心臓や血管の病気の既往歴がある方は、必ず主治医にお伝えください。ロモソズマブを選ぶかどうかの判断に関わります。

顎骨壊死(がっこつえし)について

ビスフォスフォネートやデノスマブと同様に、非常にまれですが、あごの骨に問題が起きることがあります。予防のために、次のことをお願いしています。

  • 治療を始める前に歯科検診を受ける
  • 治療中も定期的に歯科を受診する
  • 歯科を受診するときは、「ロモソズマブ(イベニティ)を使用中です」と伝えてください

低カルシウム血症

ロモソズマブの使用中に、血液中のカルシウムが低下することがあります。そのため、多くの場合はカルシウムとビタミンDの補充が処方されます。処方されたサプリメントは続けてください。

注射部位の反応

注射した部位が赤くなったり、痛みや腫れが出ることがあります。通常は数日以内に落ち着きます。気になるときは主治医にご相談ください。

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12か月の治療が終わったら

ロモソズマブは12か月で終了しますが、骨⁠粗⁠鬆⁠症の治療はそこで終わりではありません。ロモソズマブで「建てた」骨を守るため、その後は骨吸収抑制薬(「まもる」お薬)に切⁠り⁠替⁠えるのが一般的です。

切⁠り⁠替⁠え先としてよく使われるお薬:

  • デノスマブ:6か月に1回の注射で骨密度を維持します → 詳しくはこちら
  • ビスフォスフォネート:飲み薬や年1回の点滴で骨密度を維持します → 詳しくはこちら

治療の全体像でお伝えした「まずつくる、次にまもる」の流れの中で、ロモソズマブは「つくる」段階を受け持ち、12か月の後は切⁠り⁠替⁠えたお薬が「まもる」段階を引き継ぎます。

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テリパラチドとの違い

骨をつくるお薬(骨形成促進薬)には、ロモソズマブのほかにテリパラチドがあります。どちらも骨をつくる力を高めますが、仕組みや通院の形が違います。

ロモソズマブ テリパラチド
仕組み スクレロスチンをブロック(つくる+まもる) 副甲状腺ホルモンを利用(つくる)
投与方⁠法 医療機関で月1回注射 自己注射(毎⁠日)or 通院注射(週1回)
治療期間 最長12か月 最長24か月
自己注射 不要 毎⁠日タイプは自己注射あり
心血管への注意 注意が必要(心筋梗塞・脳卒中の既往歴がある方は慎重) 特に制限なし

どちらのお薬が適しているかは、骨密度の状態、骨折の有無、心臓や血管の健康状態、注射への負担感など、を合わせて主治医が判断します。

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主治医への質問リスト

次の診察で聞いてみたいことの例です。メモに書いて持っていくと、聞き忘れがありません。

  • 「私にはロモソズマブとテリパラチド、どちらが向いていますか?」
  • 「心臓や血管の面で、ロモソズマブを使っても問題ないですか?」
  • 「12か月の治療が終わった後は、どんなお薬に替わりますか?」
  • 「治療中にカルシウムやビタミンDのサプリメントは必要ですか?」
  • 「治療の効果はいつごろ検査でわかりますか?」
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まとめ

  • ロモソズマブは、骨をつくりながら守る「二刀流」のお薬です。スクレロスチンをブロックして、骨形成を促し、骨吸収を抑えます
  • 月1回の医療機関での注射で、12か月間の治療です。自己注射は不要です
  • 心臓や血管の病気がある方は注意が必要です。特に過去1年以内に心筋梗塞や脳卒中を起こした方は、主治医と慎重に相談してください
  • 12か月の治療後は「まもる」お薬に切⁠り⁠替⁠えて、建てた骨を守ります
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今日からできること

[!warning] お願い 現在処方されているお薬を、自己判断で変えたりやめたりしないでください。気になることがあれば、必ず主治医にご相談ください。

  • お薬手帳にロモソズマブの注射日を記録しておくと、12か月間のどこにいるかがわかります
  • 心臓や血管の持病がある方は、主治医に必ず伝えてください。他科で処方されているお薬もお薬手帳に載せておくと、主治医が確認できます
  • 治療開始前の歯科検診がまだの方は、予約を入れておきましょう
  • 食事では、カルシウムとビタミンDを意識してください。骨を強くする食事もあわせてご覧ください
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よくある質問

Q. 注射は痛いですか?

皮下注射なので、一般にそれほど強い痛みではありません。1回の投与で2本打ちますが、それぞれ短時間で終わります。注射部位の赤みや軽い痛みが出ることがありますが、通常は数日で収まります。

Q. テリパラチドを使った後にロモソズマブを使えますか?

テリパラチドとロモソズマブは、どちらも「骨をつくるお薬」です。片方を使った後にもう片方を使う治療については、研究データがまだ限られています。骨形成促進薬の後は、「まもるお薬」(デノスマブやビスフォスフォネート)に切⁠り⁠替⁠えるのが一般的です。具体的な治療計画は主治医にご相談ください。

Q. 12か月より短い期間で終了することはありますか?

副作用が出た場合や、他の理由で治療の継続が難しい場合は、12か月より前に終了することがあります。その場合も、主治医が次のお薬を計画してくれます。

Q. 骨密度はどのくらい改善しますか?

臨床試験では、12か月間の治療で腰椎(腰の骨)の骨密度に大きな改善が報告されています。ただし、改善の程度には個人差があります。治療中は定期的な骨⁠密⁠度⁠検⁠査(DEXA検査)で効果を確認します。

Q. 費用はどのくらいかかりますか?

ロモソズマブは保険適用のお薬です。3割負担の方で、お薬代だけで月あたり約1万5千円です(診察料や検査料は別にかかります)。高額療養費制度を利用できる場合もありますので、詳しくは主治医や薬局にご相談ください。

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参考文献

  • 日本骨⁠粗⁠鬆⁠症学会・日本骨代謝学会・骨⁠粗⁠鬆⁠症財団 編『骨⁠粗⁠鬆⁠症の予防と治療ガイドライン 2025年版』ライフサイエンス出版
  • Cosman F, et al. "Romosozumab treatment in postmenopausal women with osteoporosis." N Engl J Med. 2016;375(16):1532-1543.
  • Saag KG, et al. "Romosozumab or alendronate for fracture prevention in women with osteoporosis." N Engl J Med. 2017;377(15):1417-1427.
  • Langdahl BL, et al. "Romosozumab (sclerostin monoclonal antibody) versus teriparatide in postmenopausal women with osteoporosis transitioning from oral bisphosphonate therapy." J Bone Miner Res. 2017.
  • イベニティ皮下注105mgシリンジ 添付文書(アステラス・アムジェン)
  • 骨⁠粗⁠鬆⁠症財団「骨⁠粗⁠鬆⁠症の治療について」https://www.jpof.or.jp

本記事の内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を推奨するものではありません。骨の健康について気になることがあれば、主治医にご相談ください。

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利益相反の開示

本サイトは広告・協賛を掲載しておらず、特定の企業・製品から独立して運営しています。記事の内容は編集部が独立して作成しています。なお、本記事で紹介しているロモソズマブ(イベニティ)はアステラス・アムジェンの製品です。詳しくは利益相反ポリシーをご覧ください。

医療監修

加藤裕幸(整形外科医・日本整形外科学会専門医)

東海大学医学部付属病院/湘陽かしわ台病院

最終更新:2026年10月17日

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